698,704の方へ2006年4月21日


 文章からみて、マレーシア在住の日本人の方と拝察して話をします。海外での発症
さぞご心配で心細かった事と思います。
 入院時(退院前)と退院後(アスピリン服用、3ヶ月後)の超音波断層心エコー検
査(心エコー検査)で異常がみられなかったとのことですので、あなたのお子さんの
ような場合、以後、冠動脈障害・後遺症(冠動脈拡張、瘤、狭窄など)や弁の異常、
心筋障害が起こってくる事は基本的にはあり得ません(再発や見落としなどを除い
て)。
 川崎病でとくに問題となるのは、急性期(主に入院中〜発症から約1ヶ月の期間)
にみられた冠動脈障害有の方です。冠動脈障害以外の心臓障害では上記のように、心
筋や弁の障害を起こす方もまれにおられますが、多くは経過と共に改善していきま
す。
 選択的冠動脈造影検査(略して血管造影、心カテーテル検査等)は冠動脈後遺症を
きたした方がおこなう検査で、あなたのお子さんの場合は必要ないと思います。
 経過観察(定期検査)について日本との違いを心配されているようです。冠動脈後
遺症の有無や後遺症の程度(重症度)によって大きく違いがあります。
 あなたのお子さんの状態は(重症度分類=T〜Xで最も軽く、とくに問題がないと
されているTのグループ)現在日本では、施設(病院)によっても、多少、検査内
容、検査回数、検査期間に違いが見られますが、少なくともマレーシアでいわれた
3ヶ月で終了とはなっていません。最低1年間は何度か検査をし、その後5年をめどに
経過観察(診察・問診のみの場合もある)は継続しています(これは2002年に出され
た"川崎病の管理基準”や2003年に出された"川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関
するガイドライン”によるものです。もちろんそれ以上に検査や経過観察をしている
病院も有ります)。その検査内容は主なものは心エコー検査と心電図です。必要に応
じて胸部X線写真をとるようになっています。それは各々心臓に関する検査内容が、
得意とする範疇が異なるからです。
 ただ先ほども申し上げましたように、急性期の検査がきちんとなされており、その
結果に異常がなければその後問題が生じる場合はほとんど有りませんので、これらの
検査を受けたとしても、結果「全て異常なし」ということがほとんどになります。日
本での定期検査も万が一を想定して(急性期の微細な変化や検査の見落としなど)行
なっているというのが実情です。ですから、例え今、思うように検査を受けられない
状態であっても、あまり心配なさらないでよろしいかと存じます。
 そこで、もしご心配であれば、今度日本に帰国された際に、小児心臓の専門医の常
勤している大学病院、こども専門病院、心臓外来のある近くの総合病院などで心エ
コー検査を含め心電図、レントゲン、血液検査等、一連の検査をきちんとお受けに
なったらいかがでしょうか。安心が倍増するかと存知ます。
 川崎病は今や世界中で発症が見られていますが、残念ながら現状では、マレーシア
における川崎病の認識は、世界で最も多く患者の発生している日本(20万人を超え
る)とは、まだ大きな違いがあることは否めないと思います。お大事に、がんばって
ください。